効率と非効率

また一人、また一人と、次の1年間もサポートさせてもらう選手が決まっていきます。
引き続き隣にいることを必要としてくれた選手たちには本当に感謝です。

毎回この節目にその選手への1年間の関わり方を振り返る機会を設けています。
選手への関わり方は一人一人違くて、その選手にとって一番いいサポートの形を提案しています。
だからこそ自身の提案したサポートは本当にその選手にとって良かったのか振り返る時間が大切なんです。
選手も日々改善を繰り返し、成長してるように、サポートする側も常に改善し続ける姿勢を大事にしたいですよね。

実は最近自分の選手への関わり方を客観的に考える時間がありました。
テクノロジーを使えば済むことも最低限しか使わないし、一つ一つの丁寧さを大事にしている感じです。
分かりやすく言うと、大量生産の商品というより、職人さんが丁寧に作り上げる一点物みたいな感じでしょうか。
つまり、非効率なんですよね、自分の選手への関わり方は。

だけどその一方で、効率的なことばかりを選ぶことで、失うこともあるんじゃないかなと思うんです。
大事なことって時間がかかるし、手間もかかる。
パックご飯より、炊飯器で炊いたご飯の方が美味しいし、炊飯器より土鍋で炊いたご飯はもっと美味しい。
本当にいいものって非効率で時間がかかるものが多い。
土鍋で炊くのなんて時間もかかるし、やることも増えるけど、絶妙な火加減や時間管理してる時間もなんかいいじゃないですか。
土鍋で炊いたご飯を食べた時の感動は格別ですしね。

もしかして、その感動を味わいたくて非効率を進んで選んでいるのかもしれないとこの文章を書きながらふと思いました。
つまるところ、自分のサポートってそんな感じです。

ファミレスとか行くと今はロボットが料理を持ってきてくれて、便利な世の中だなと感じる一方で、本来あった人と人のコミュニケーションが生み出す温かい気持ちのようなものがそこにはなくて、ちょっと残念な気持ちになったり。
一方で、昔からある定食屋さんの笑顔で迎え入れてくれるような雰囲気は自分の心を優しい気持ちにしてくれます。
実はこの非効率にこそ選手の人生に寄り添えるかどうかの本質が隠れているのかもしてないと思ったり。

正直今のやり方では、たくさんの選手をサポートすることは厳しいかもしれません。
そもそも人は手が2本しかないですから、必要以上に抱え込めば、隙間からこぼれ落ちていく。
選手の限りある競技人生に関わる人間として、選手を抱え込みすぎた結果、選手へのサポートの質が低下することは絶対に避けたいと思っています。
だからこそ、信頼できるスポーツメンタルコーチ仲間に、自分の代わりにサポートをお願いすることもあります。
そんな自分のお願いを快く受け入れてくれるスポーツメンタルコーチの皆さんに感謝!
引き続きよろしくお願いしますね。

大量生産の商品より、職人が作る一点物。
パックごはんや炊飯器で炊くご飯より、土鍋で炊くご飯。
ファミレスで料理を運ぶロボットより、昔からある定食屋さんの店主。
そんな感じのスポーツメンタルコーチ像を大切にしていきたいです。

非効率を選び続けた先に、どんな未来が待っているのか。
その未来を見るのが、実はほんの少しだけ楽しみなんです。
その気持ちを心の奥にそっとしまって、丁寧に目の前の選手と今日も向き合っていきたいと思います。

スポーツメンタルコーチ加藤優輝
Deportare Design代表
Deportare Design代表。6歳から22歳までプロサッカー選手を目指していたが、燃え尽き症候群により競技を嫌いになり、結果プロになれずに現役引退。 その後、人命に関われる仕事に魅力を感じ、消防士になる。 消防士として社会貢献していく中で、夢や目標に向かっている人をサポートしたいという思いが沸き起こり消防を退職。 退職後、自分自身が燃え尽き症候群になってしまった原因を解明すべく、脳と心の仕組み・スポーツ科学、EQなどについて学ぶ。 その後、サッカー元日本代表でもあるカレンロバートの専属サポート。現在は、プロ野球選手(NPB)やプロサッカー選手(Jリーグ)、プロサーファー、プロゴルファー、実業団選手を始めとする、トップアスリートから本気でプロを目指すアスリートを中心にメンタルのサポートをしている。 すべての人が自分自身の可能性を信じて生きていける社会にすることが人生のテーマ。

私がスポーツメンタルコーチになった理由

私はプロサッカー選手になるはずだった。小学校のころから夢はサッカー選手。中学生になっても高校生になっても大学生になっても、夢は変わらずサッカー選手。そんな私は、身長170㎝でゴールキーパーをしていた…>>続きはこちらから

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