■現在はどのような活動をしていますか?
現在はメンタルコーチとしてアスリートのサポートをメインに活動しています。
■これまではどのような仕事をしていましたか?
サッカーを大学までやっていたんですけど、、そのあと消防士に1回になりまして、公務員として3年間勤めて、その後に身体のことやメンタルのことを勉強して、サッカーチームで働くという経験を経て現在に至るというような感じですね。
■色々と勉強をされていますがそのきっかけは?
結局自分がプロになれなかった理由というか、バーンアウトしちゃった理由を知りたくて勉強していた感じでした。
■バーンアウトしてしまった原因は?
大学までプロサッカー選手を目指していたんですけれども、僕が身長が170cmしかなくて、ゴールキーパーでプロを目指していて、ずっとなれると思っていたんですけれども、大学4年生の時に、プロ関係の方から「その身長だったら、君より身長があと15cm高い選手で君と同じ能力の選手を獲るよ」と、遠回しに「君はプロは無理だよ」ということを言われまして。身長という変えられないことに悩むよりも、他の変えられることに向き合うっていう。そこまでの学生時代のサッカーだったんですけれども、そこを根本からへし折られた感じがして、サッカーが嫌いになってしまい、逃げるように引退しました。
■スポーツメンタルコーチを目指したきっかけは?
スポーツメンタルコーチとして生きていくということを決めた一番は、自分自身が燃え尽き症候群になって競技を引退したことです。ある時から、楽しかったはずの競技がそうではなくなり、自分の達成したいことのためにつらい思いもしなきゃいけないとか、プロになれなかったら競技をやる意味はないというような経験をしてきて、純粋に楽しい状態で競技を終えることができたらいいのになというのが、今振り返るとすごく思う時もあって。
僕と同じような気持ちの選手を1人でも減らしていけたらいいなというのもありますし、逃げるように競技をやめるのではなく、楽しかったな、やりきれたなと思える状態で競技を引退して、また次の道に進んでいけるような、そんな人が増えたらいいなという思いでメンタルコーチを始めました。
■スポーツメンタルコーチを知ったきっかけは?
もともと大学の卒業論文でモチベーションのことについて論文を書こうかなっていう気持ちもちょっとあって、ずっとメンタルっていう部分に関しては興味があったんですよね。その頃から颯人さんのことをTwitterでフォローしていて、「こういう仕事もあるんだな」っていうところから、颯人さんがどういうことをやられているのかを調べて、それで直接会っていただく機会をいただきまして、そこでスポーツメンタルコーチとはどんなものなのかというのを知ったというところが本当に初めのきっかけかなと思います。
■現在サポートしている競技は?
今サポートをしている選手は、競技で言うとサーフィン、ゴルフ、バドミントン、野球、サッカー、バスケットボールです。
■選手をサポートする醍醐味は?
たくさんあるんですけれども、あえて1つ挙げるとすると、サーフィンの選手の話なんですけれども、試合で準決勝まで進んで負けてしまい、決勝まで進んだのがサポートしている選手の所属先の後輩で、その選手が優勝したんです。
サーフィンって、優勝するとその選手を肩車して担いだりするシーンがあるんです。僕がサポートしている選手が、「今までは、自分以外が優勝した時に、他の選手を担いだり、祝福するということが思えなかった」と話してくれたんです。「でも、その時は自然とその選手を祝いたいと思えたし、ファイナルの試合で自分の後輩が戦っている姿を心から応援できた」っていうことを、わざわざ試合が終わった時に連絡をくれて、この仕事の醍醐味ってここなんじゃないかと思ったんです。
選手自身の内面が変化していくことを、選手自身が実感して、それを選手の言葉で聞ける。その瞬間というのが、数ある醍醐味の中でもダントツなんじゃないかなというのは、すごく感じます。
■普段どのようなサポートをしていますか?
まず大事にしていることは、しっかり学んだことを学んだ通りにやるということです。よく、学んできたことにプラスして、自分自身のオリジナリティや、別のところから得たことを付け加えてやりたいっていう気持ち……本気だからこそそういう気持ちが芽生えてくるっていうのはあるかと思うんですけれども、まずは学んだことをしっかりとやること。
さらには、選手にどれだけ寄り添えるか、そして選手を選手として見るのではなく、1人の人間としての幸せに寄り添うという気持ちがコーチとして持てているのかというのはすごく大事なんじゃないかなと思います。
■選手に電話サポートを行っているようですが、その想いは?
基本的にはアスリートの試合前に、電話でコーチングする、電話でのサポートという時間は、すごく作っていて。メンタルコーチとしてやり残したことはないのか、まだやれることはないのかというところを追求すればするほど、選手の試合直前まで何か寄り添えるか、サポートできるかというところに僕の中では行き着いて、今ではそのスタイルが、サポートしている選手にとってもすごく心の支えになるというか、そんなようなことを言われて、今も続けているっていう感じですね。
■スポーツメンタルコーチで大変なことは?
大変というか、サポートしている選手に余計なことで気を使ってもらいたくないというところがあります。「このタイミングで連絡したら加藤さん大丈夫かな?」とか、競技以外のことで変に気を使ってもらいたくなくて。
選手のタイミングで連絡できるような状態にしたいと思いますし、選手の試合の時間帯とか、競技を続けていく中での選手の日々の過ごし方みたいなところを把握した上で、自分の時間の管理じゃないですけど、そこは徹底してやっていますね。
■最初のクライアントはどのような選手でしたか?
最初のクライアントは、Jリーグでサッカーをやっていて、代表にも入っていた人で、たまたまその方から連絡が来て、サポートしてほしいと。最後のサッカーキャリアで、イングランドで挑戦したいということであったので、そのイングランドでのキャリアが終わるまでをサポートさせてもらっていました。
■最初からレベルの高い選手を担当されていますが大変でしたか?
僕自身もキャリアが始まったばかりだったので、元日本代表とか、Jリーグで新人王を獲ったという話を聞くと、本当に自分でできるんだろうかという気持ちもあったんですけれども、でも、その経験があったからこそ、その選手のおかげで僕自身より成長することができたというか。
やっぱり選手から教わることであったり、選手にコーチが引き上げてもらうということは、すごくたくさんあるんだなっていうのを、その選手をサポートしたことで気づくことができて、それは今でも自分の中ですごく大事にしている思いです。
プロの先生に関わることもあれば、プロになるために社会人でがんばっている選手、そういった選手に関わることもあるんですけれども、カテゴリーがどうだから見方が変わるというのはなくて、あくまでも目の前の1人の選手から学ばさせてもらって、日々成長させてもらっているというのはすごく感じます。
■協会からはどのようなバックアップがありましたか?
まずは毎月の勉強会への参加ができるというところです。メンタルコーチとしてやっていくとなった時に、すごく孤独というか、1人なわけで、その思いを打ち明けられる場所があったり、仲間がいるというのはすごく心強かったなと思います。
■協会の再受講制度はどのように活用されていますか?
再受講制度も、サポートスタッフとしてたくさん関わらさせてもらって、やっぱり自分自身が学んできたことを再確認できるというのも大いに自分にとってもいい時間だったなと思いますし、あとは志を持って資格講座を受けに来ている受講生の方との関わりももちろんあるので、その中から自分の初心を思い出させられるというか、もっと自分もがんばっていこうという気持ちにさせてもらいました。
■協会に所属して良かったことは?
もちろん勉強会に参加できるというのもあるんですけれども、一番は人との出会いというところが大きいかなと思います。自分と同じような志を持っている人たちがたくさん集まってくるので、そういった方たちとの関係があると、自分にとっても前向きなエネルギーにもなりますし、1人じゃないなっていう気持ちになれるかなと。
やっぱりアスリートをサポートしていく中でメンタルコーチが孤独感を感じることもあるので、そういった中でも、協会に所属して、協会に同じ志を持つ仲間がいるというのはすごく大きかったです。
■クライアントはどのように獲得されていますか?
今一番多いのは紹介です。一応自分のホームページを持っていたり、SNSのアカウントも持ってはいるんですけれども、やっぱり自分がサポートしていた選手からの紹介であったり、サポートをしている選手を見ているトレーナーさんからの紹介というのが圧倒的に多いです。
■協会の紹介制度はどのように感じていますか?
協会からのアスリートの紹介で今現在もサポートさせてもらっている選手もいまして、協会から紹介いただいたことでメンタルコーチとしてのキャリアを築く最初の大事な一歩目であったり、経験値、選手と関わることで得られる学びは間違いなくあるなというのは、実際に経験したからこそ言えるかなと思います。
実際にクライアントやサポートする選手がなかなか増えなくてどうしようかなって悩んでいる方もいると思うんですけれども、やっぱり最初の一歩目というところで、協会からの紹介というのは、キャリアを作る最初のきっかけとしてはいいんじゃないかと思います。
■プラチナライセンスを取得されていますが、メリットは?
プラチナを持っていることで、自覚みたいな部分が芽生えるというのは確かにあるかなとは思います。プラチナを持っているから協会から紹介してもらえる、だからプラチナを目指そうではなくて、根底にある「なぜメンタルコーチをやりたいのか」「これからメンタルコーチとして生きていきたいんだ」という思いの部分のほうが大事だと思うので、そこの思いがしっかりとある方でしたら、気づいた時にはプラチナになっているというか、それは自然とついてくるものなのかなと思います。
■最後にスポーツメンタルコーチを目指す方へメッセージをお願いします
スポーツメンタルコーチとしてこれからやっていきたいという方がいると思うんですけれども、一番大事になるのは、やはり「メンタルコーチとしてこれからやっていくんだ」というその思い、そしてその思いの理由というのがすごく大事になると思うので、どうしてスポーツメンタルコーチとしてアスリートをサポートしていきたいのかというところを、自分なりにしっかりとはっきりさせること。
そしてその理由をしっかり持ってスポーツメンタルコーチという世界に踏み出してもらえれば、それを支え合える仲間であったり、その方をサポートしていく仕組みというのもあるので、その思い、やりたい理由は何なのか、そこに丁寧にしっかり向き合っていくことが大事なのかなと思います。