What’s mental coaching

スポーツの世界では指導者の事をコーチと呼んだりします。私がお伝えしたいコーチとは少しだけ意味合いが変わってきます。その意味と、そして私が大切にしている理由などをご説明させていただきます。

一般的にメンタルコーチングとは「コーチングなどの目標達成支援だけでなく、無意識レベルに抱えている心の足かせを外す人」と称されております。その上で、私が行っているメンタルコーチングはスポーツに特化したメンタルコーチングになります。

Deportare Designではメンタルコーチを以下のように定義しております。

「選手が目指す目標へ導く為に、メンタル面からパフォーマンスを支えられる人」

と定義しております。その上でアスリートをサポートする際に単にパフォーマンスや結果を追求するだけではなく、選手の一生を預かる責任と人生に携わる身として大切にしているのが以下の2点です。

  • QOLを高める事を何よりも大事にしている。
  • 結果よりも結果に相応しい人になる事を意識している。

※クオリティ・オブ・ライフ(quality of life)とは、一般に、ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質のことを指し、つまりある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念である。

この大前提の上でメンタルコーチングが成り立つと考えおります。具体的な手法においては以下よりお伝えします。

コーチングとティーチングの違い

コーチングの意味とは?

英語で書くと「coaching」となります。日本語では馬車という意味になります。

つまり馬車が人を目的地に運ぶ事から転じて、クライントさんの目標や夢を実現するために正しい道に導くという事でコーチという言葉が使われるようになりました。元々はイギリスでの大学受験を控えた子どもの家庭教師のことをコーチと呼んだのが最初だと言われています。

コーチの言葉は英語のcoachという単語から来ています。この言葉の語源はハンガリー語のKocsi(馬車)ハンガリーの街Kocs(コッチ)で、15世紀後半に大型の4輪馬車が開発されて「コッチの馬車」という意味だったようです。

その上で私はメンタルコーチング時に以下の3つを大切にしております。

  • 自分(他人)の現在地を知る
  • 目標設定
  • 結果に相応しいメンタルに導く

教えるはティーチング

よくコーチの存在を「教える人」だと思う方がいますが、「教える人」は英語で「teaching」となります。教えることと、導くことではアプローチが全く異なっていきます。この点を理解されずにコーチという言葉を使われる方が多い印象があります。一般的に、コーチは「気付きを与える存在」ということで広く認知されるようになってきました。

スポーツメンタルコーチングでは具体的にどんなことをするのか?

①人には3つの心の状態がある

人には3つの心の状態があると言われています。マイナス、ゼロ、プラスで分けられます。それぞれの専門領域をメンタルコーチがカバーしているのが特徴の1つであります。

アスリートが抱える問題は試合で最高のパフォーマンスを出し結果を出すだけではありません。人間関係、怪我、病気からの復帰、また、将来の人生設計(セカンドキャリア)まで多岐に渡って相談に乗ることがあります。

そこで、現役中のアスリートが心から安心、安全な環境だと思ってもらえるためにクライアントとの守秘義務を大事にしております。

メンタルトレーニングはティーチングの役割を満たしてくれます。すでに科学的にもわかっている事実を活用した方法を教えてくれます。筋弛緩法、目標設定(管理)、イメージトレーニング、ポジティブシンキング、情動のコントロール、行動変容技法、リラクセーション、心理検査などがあります。

しかし、これらの手法を用いても崩せないのがその方だけが持つ「思い込みのフタ(セルフイメージ)」になります。この思い込みが選手の可能性や潜在能力にフタをしていると考えています。

②メンタルコーチングの具体的なアプローチ

メンタルコーチングでは、結果に相応しいメンタルを手にすることを大切にしています。なぜなら、結果に相応しいメンタルを手にすることで、目標は自然と達成されていくからです。

例えば、メジャーリーグで活躍するプロ野球選手を想像してみてください。その選手はどんなメンタルを持っているでしょうか?

「継続力、柔軟性、謙虚さ」などといったものが挙げられるかと思います。

ではそれらのメンタルは、メジャーリーグで活躍するようになったことで手に入れられたのでしょうか?

私はそのようなメンタルを兼ね備えていたからこそ、メジャーリーグで活躍することができているのだと考えます。だからこそ、結果に相応しいメンタルを目指すことが大切になってくるのです。

そのメンタルを手にするためには、その人にとって心のブレーキになっている思い込みのフタ(セルフイメージ)を取り除く必要があります。例えるならば、結果に相応しいメンタルに向かってアクセルを踏んでいるのに、同時にブレーキを踏んでしまっている状態。車を運転するとき、アクセルと同時にブレーキを踏んでいたら前に進まないのと同じです。

その心のブレーキを緩めることで目標に向かいやすい状態にしていくことが、私が提供しているメンタルコーチングになります。

③人は思っている通りの人生を歩む

ここでユニークな事例があります。20世紀の初めごろに、ヨーロッパでは盛んに「1マイル走」と言う陸上競技が行われていました。1923年にフィンランドの選手が4分10秒さんと言う世界記録を打ち立てました。

トップランナーたちは、この世界記録は目標として、4分以内に1マイル走ることを目指しました。しかし、何十年間にもわたって1マイル4分の壁を破る事は不可能だと言う考え方が陸上界の常識のようになってしまったのです。当時はエベレスト登頂よりも難しいとさえ言われました。

1954年になってロジャー、バニスターと言う選手が、3分59秒4で走り、ついに4分の壁を破ります。それは、前回の記録から31年後のことでした。ここで面白い出来事が起きます。この新記録が出た46日後に今度は別の選手が3分58秒と言う世界記録を出したのです。その後の1年間で23人もの選手が4分の壁を破っていきました。

このように私たちは無意識の心理的な限界を作り上げてしまい肉体的限界を超えずに潜在能力に制限を掛けてしまうのです。

④思い込みによって潜在能力に制限をかけている

このような思い込みをアスリートたちは無意識に持っています。自分自身が思っていなくても、周りの家族、コーチ、監督、仲間、さらには世間一般論によって私たちは無意識に自分の可能性にフタをしているのです。

このような思い込みのフタをセルフイメージと言ったり、心のサングラスと言ったりします。私たちが見ている世界は心のフィルターを通じて見ているだけなのです。この心のフィルターや心のサングラスを掛けている以上は自分の世界観で物事を判断してしまうのです。

心理学的に説明をすると「認知的歪み」が私たちの可能性にフタをすることになります。バイアスといったりします。その中でも特に多いバイアスが「自分には無理かもしれない」というアンコンシャス・バイアスが挙げられます。世の中の「普通だと」「一般的に」「すべき」や「絶対に〇〇」などの考え方によって飛び抜けた結果を生み出す上で弊害になっているのです。

代表例としてメジャーリーグで活躍したイチロー選手や、二刀流で活躍している大谷翔平選手。多くの人のその活躍を疑問視していましたが、先行事例が生まれたことによって今では多くの人が追従するようになりました。

その上で、「メンタルが弱い」と思っていることも思い込みです。さらには弱いからと言って「心を強くしよう」と思うのも思い込みです。大事なのは心のブレーキをしっかりと緩めることです。自分で自分の可能性に制限を掛けていることに気付けると、もっと楽に結果を残すことができる自分に気付けます。

理想とする自分に近づくには

昔、あるプロアスリートの方からこんなご相談を受けました。

「自信が欲しいです。自信を手に入れるには、どうしたら良いですか?」

と質問を受けました。そこで私は少し沈黙した後にこう聞きました。

「自信を手に入れることができたら目標は達成できるのですか・・・?」

その後、その方の曇っていた表情がスッキリとした表情に変わりました。

理想に近づきたいと思いながらも、理想にフタをし、問題にばかり目を向けてしまうのが人間なのかもしれません。ただ、こうした言葉掛けを的確にできる人が必ずしも周りにいるとは限らない現実に直面します。その上で重要になってるのが理想の自分に近づくための最低限の知識になります。

①理想の自分に近づくために私が考える最低限の知識

  • モチベーションを高める目標設定やプランニング
  • 練習や試合の質を高める集中力の仕組みを理解する
  • チーム力を高めるコミュニケーション能力

これらを満たすためにメンタルコーチングを行うと、さらにどんなことを伸ばすことができるのかを具体的に説明したいと思います。

②メンタルの質が高める

セルフトーク(言葉の質)
モチベーションの源泉を手にいれる
自分を知る(セルフアウェアネス)
自分だけのリラックス法を手に入れる(緊張と不安からの解放)
感情の捉え方(プレッシャーに強くなる)
気持ちを一瞬にして切り替える
脳の仕組みを理解する(非認知脳)
成長を加速させる(自分にあった身体感覚野の理解)
性格や思考パターンを理解する
自律神経を理解する(自分の最大パフォーマンスパターンを知る)
セカンドキャリアに捉われない情報整理術
etc…

一般的なメンタルを強くしたいと思っている方は驚くかと思いますが、メンタルとは相互作用で成り立っています。どれだけ、素晴らしいメンタルや人間性があっても、技術や体力がなければ試合で素晴らしいパフォーマンスを発揮できません。メンタルが大事ではありますが、本当にわかっている人はメンタルも技術も、体力も全て等しく大事だということを理解してます。

私たちは既存の概念に捉われずにアスリートの幸せに貢献していくためにメンタル面を整えつつ、様々な分野においても作用することを大事にしております。そのためにも、フィジカルトレーナー、管理栄養士、データアナリストなど専門家との連携を大切にしております。

一人一人の心に寄り添う

突き詰めていくと、1人1人にあった話をすることが一番大事だと思っています。個人のパフォーマンスを深く高め、選手が持っている潜在能力を最大限に引き出すお手伝いをするのがメンタルコーチングなのです。しかし、その上で大事にしている信条があります。

「スポーツが人生なのではなく、人生の中にスポーツがある」

あくまでも、スポーツだけが人生ではないのです。もちろん、人生を賭けてスポーツに向き合うアスリートたちとの時間は真剣勝負そのものです。それをサポートするメンタルコーチも最高の準備と研鑽が欠かせません。

選手との個別コーチングでは60分ほど時間をとります。遠方の方でなければ、直接お会いしてお話を聞きます。さらには、選手の練習や試合にもお邪魔します。選手のパフォーマンスを最大限発揮するためのヒントは現場以外にありません。

選手が選手として輝ける時間は限りがあります。その時間を私は全力で寄り添っていくために、できること全てを行なっていきます。

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