アスリートがどのようにセカンドキャリアを築いていくといいか

スポーツ選手は、その競技生活に全てを捧げてきた結果、引退後のセカンドキャリアについて悩むことが少なくありません。
競技生活が終わった後の人生をどのように切り開いていくか、その道筋が見えないことに不安を感じる選手も多いです。
そして競技引退が近づいてくるにつれて、セカンドキャリア問題によって競技に集中できないという問題も起こります。

しかし、計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)を活用することで、セカンドキャリア問題を解決するきっかけをつくることができます。

本コラムでは、この理論に基づき、アスリートがどのようにして充実したセカンドキャリアを築いていくかについて、具体的なポイントを交えて解説していきます。

目次

アスリートのセカンドキャリアの現状

引退後のアスリートは、スポーツ界以外の道に進む必要がありますが、競技生活に専念していた分、一般的な職業のスキルや経験が不足している場合があります。
そのため、引退後の仕事やキャリアに苦労する選手が多いのが現状です。

また、スポーツだけに打ち込んできた選手にとっては、何がやりたいのか、何が向いているのかといった悩みを抱えている場合も多いです。

計画的偶発性理論とは?

計画的偶発性理論は、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授によって提唱されました。
この理論では、キャリアの約80%は偶然の出来事によって出来上がるとされています。
つまり、「計画的に偶然を引き起こす」ことでキャリアを形成していくことになります。

計画的に偶然を引き起こすための行動特性として、以下の5つが挙げられます。

<計画的偶発性を起こす行動特性> 
1 好奇心(Curiosity):新しいことに興味を持ち続ける
2 持続性(Persistence):失敗してもあきらめずに努力する
3 楽観性(Optimism):何事もポジティブに考える
4 柔軟性(Flexibility):こだわりすぎずに柔軟な姿勢をとる
5 冒険心(Risk Taking):結果がわからなくても挑戦する 

セカンドキャリアにおける計画的偶発性理論の活用

アスリートが引退後の人生を成功させるためには、偶然のチャンスを待つのではなく、自ら行動してチャンスを引き寄せることが求められます。

だからこそ、競技生活中から多様な分野に興味を持ち、積極的にネットワークを広げたり、挑戦する時間を設けるなどといった行動することが重要になります。

計画的偶発性理論の5つの行動特性をどれだけ意識しながら日々を過ごしていけるかがポイントなのです。

計画的偶発性理論を取り入れるためのステップ

例えば、プロサッカー選手になれなかった選手が、計画的偶発性理論をもとにセカンドキャリア形成と向き合った場合について考えてみます。

好奇心(Curiosity)
→気になることはどんどん試してみる
持続性(Persistence)
→すぐに辞めるのではなく、一定期間は続けてみる
楽観性(Optimism)
→プロサッカー選手になることより簡単ではないことはないからやれそうな気がする
柔軟性(Flexibility)
→時間をかけて手にしたものでも、そこに固執しない
冒険心(Risk Taking)
→リスクがあったとしても、やりたいと思ったら行動

このように計画的偶発性理論の5つの行動特性を意識することで、セカンドキャリアを見つけるきっかけを生み出すことができます。

これらは一つの例ですので、皆さんもこの5つの行動特性に自分の行動を当てはめてセカンドキャリアを向き合ってみてください。

まとめ

アスリートが引退後も成功するためには、偶然を味方につけ、積極的に行動することが求められます。
計画的偶発性理論を活用することで、引退後の不安を軽減し、充実したセカンドキャリアを築くことが可能です。

人生の転機はいつ訪れるかわかりません。
その偶然のチャンスを掴むために、まずは一歩を踏み出してみましょう。

また、セカンドキャリア問題への準備に計画的偶発性理論を活用することで、セカンドキャリアを心配しながら競技をすることもなくなり、より一層競技に集中できる環境を整えることにも繋がります。

つまり、成功するキャリアを築くために、偶発の出来事が起こるのを待つのではなく、自ら引き起こすために行動していくことが大切になるということです。 

このコラムがアスリートの皆さんのセカンドキャリア形成のヒントとなれば嬉しく思います。

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