前十字靭帯断裂・損傷を受傷したアスリートへ。

――孤独の中で光を見つけるために

前十字靭帯を断裂した瞬間。
「ブツッ」という音とともに、心の奥まで何かが崩れ落ちていく感覚を覚えた人も多いと思います。
私も、あの瞬間を今でも鮮明に覚えています。

走れない。
動けない。
何もできない日々が続く。

まるで、今まで築き上げてきた競技人生が、一瞬で奪われたような気がしました。


二度の前十字靭帯断裂――心が折れた日々

私はこれまでに、前十字靭帯を二度断裂しました。
1回目の断裂は、初めての大怪我でした。あのときは、ただただ怖くて、悔しくて、何が正解かわからなかった。
そして、リハビリを重ねてようやく復帰した最初の試合で再断裂

心が完全に折れました。
「もう一度立ち上がる意味なんてあるのか」
「なぜ自分だけがこんな目に遭うのか」

ベッドの上で何度もそんな言葉を繰り返しました。
前十字靭帯を断裂した人にしかわからない、あの底のない孤独
“痛み”というよりも、“喪失”でした。


動かない足と、止まらない心の焦り

リハビリが始まっても、心のリハビリはずっと後ろに取り残されたままです。
足は思うように動かず、少し動くたびに膝が怖い。
「また切れるんじゃないか」
「もう前みたいには動けないかもしれない」

そんな不安が頭の中を支配して、毎回のリハビリが怖くなる。

そして何より辛いのは、周りの選手が練習しているのに自分だけ何もできない現実
「置いていかれるかもしれない」
「もう戻る場所なんてないんじゃないか」

そんな思いが押し寄せるたびに、目の前がぼやけて、息が詰まりそうになりました。


「前に進みたいのに、進めない」――葛藤の中で見つけた一つの光

でも、そんな時間の中で、ある気づきがありました。
それは、「今の自分を責めても、何も変わらない」ということ。

私は怪我を通じて、“できない自分”と向き合うことの意味を知りました。
焦りを手放す勇気。
痛みを認める強さ。
そして、“それでももう一度、立ち上がりたい”と願う気持ち。

この怪我が、自分に何かを教えようとしているのかもしれない。
そう思えた瞬間から、少しずつ前に進めるようになりました。


怪我は「終わり」ではなく、「始まり」――PTGという考え方

心理学には「ポストトラウマティックグロース(PTG)」という言葉があります。
これは、「トラウマ(心の傷)を経験した人が、その出来事を通して以前よりも深く成長していく」という概念です。

怪我は確かに苦しく、悲しい出来事です。
でもその中で、自分の心と向き合い、誰かに支えられながら前に進もうとするとき、人は驚くほど大きく成長します。

私自身、二度の前十字靭帯断裂を経て、
「怪我は終わりではなく、次の自分に出会うための始まり」
だったと心から思えるようになりました。


経験者だからこそわかる「孤独」と「希望」

前十字靭帯を断裂したアスリートにとって、最も大きな敵は“痛み”ではなく“孤独”です。
チームメイトは練習に励み、自分はリハビリ室で黙々と足を動かす。
誰かに励まされても、「この気持ちはわかってもらえない」と感じてしまう。

でも、もしあなたのそばに、
同じ経験をした人がいて、ただそっと寄り添ってくれたら。

「大丈夫」ではなく、
「わかるよ」と言ってくれる人がいたら、
それだけで心は救われると思う。

私は、あの時の自分のように孤独と闘っているアスリートのそばにいたい。
そして一緒に、「怪我をした自分」から「成長した自分」へと歩んでいく過程を支えたい。


医療現場で感じた“心のケア”の重要性

私は二度目の断裂をきっかけに、「自分と同じ怪我をした人を支えたい」と強く思うようになり、
前十字靭帯再建手術の症例数が日本一多い関東労災病院のスポーツ整形外科で看護師として働きました。

そこでは、プロアスリートから学生アスリートまで、前十字靭帯断裂や損傷と向き合う多くの選手を見てきました。
身体の回復を支える医療の現場にいながら、私はいつも感じていました。

「身体のリハビリはできても、心のリハビリはなかなか届かない」と。

だからこそ、メンタルの側面からも支えられるようにと、スポーツメンタルコーチとしての学びを始めました。
怪我の痛みも、焦りも、孤独も全部わかる。
その上で、前に進む力を引き出せる存在になりたい。
それが、今の私の原点です。


「今できること」に目を向ける――怪我を成長に変える時間へ

前十字靭帯を断裂した時期は、確かに何もできないように感じます。
でも、実は「できること」はたくさんあります。

たとえば、

  • 自分の体の状態を深く知ること。
  • 不安や焦りとどう向き合うかを学ぶこと。
  • 自分にとって“競技を続ける意味”を見つめ直すこと。

この時間をどう過ごすかで、その後の競技人生は大きく変わります。
怪我をきっかけに、心が整い、体の使い方や練習への向き合い方が変わる選手もたくさんいます。

リハビリ期間は、成長の準備期間です。
それは、表面の筋力ではなく、「内側の強さ」を磨く時間です。


あなたの「伴走者」として、共に歩みたい

前十字靭帯断裂を経験したあなたへ。
私は、あなたのその痛みも不安も、誰にも言えない焦りも、全部わかります。

なぜなら、私も同じ道を歩んできたから。

「この人なら、自分を理解してくれる」
そう感じてもらえる存在でありたい。

私はあなたの前を走るコーチでも、後ろから押す指導者でもありません。
隣を一緒に歩く“伴走者”でありたいと思っています。

怪我の経験を、終わりではなく「始まり」に変える。
そのための時間を、私はあなたと一緒に歩んでいきたい。


もし今、孤独の中で立ち止まっているなら

「何をしたらいいのかわからない」
「復帰への道が遠く感じる」
「この怪我に意味なんてあるの?」

そんな思いを抱えているあなたに、伝えたいことがあります。
その時間は、決して無駄ではありません。
むしろ、あなたの競技人生の中で最も大きな“成長の種”が、そこに眠っています。


体験メンタルコーチングという一歩

もし今、あなたが前に進みたいのに一人では難しいと感じているなら、
まずは「体験メンタルコーチング」という一歩を踏み出してみてください。

この時間では、

  • 怪我と向き合う心の整理
  • 焦りや不安への対処法
  • 競技復帰に向けたメンタルデザイン
    を、あなたと一緒に言葉にしていきます。

私は、医療現場とアスリート人生の両方を通して、前十字靭帯断裂という現実の厳しさと、その先にある希望の光を見てきました。

あなたが再び、自分らしく競技に戻れるように。
そして、怪我を経たからこそ見える新しい自分に出会えるように。
その道を、私が隣で一緒に歩いていきます。


最後に

前十字靭帯断裂という経験は、あなたから何かを奪うものではありません。
それは、あなたの中に眠っていた「強さ」や「優しさ」、「本当の自分」を目覚めさせる出来事です。

私は、あなたのその歩みを信じています。
そして、共に歩める日を心から楽しみにしています。


※前十字靭帯断裂または損傷した方は、申し込みフォームの「どんなことを期待していますか?」「前十字靭帯断裂または損傷を受傷」とご記入お願いします。

スポーツメンタルコーチ加藤優輝
Deportare Design代表
Deportare Design代表。6歳から22歳までプロサッカー選手を目指していたが、燃え尽き症候群により競技を嫌いになり、プロになれずに現役引退。 その後、人命に関わる仕事に魅力を感じ、消防士になる。 消防士として社会貢献していく中で、夢や目標に向かっている人をサポートしたいという思いが沸き起こり消防を退職。 退職後、自分自身が燃え尽き症候群になってしまった原因を解明すべく、脳と心の仕組み・スポーツ科学、EQなどについて学ぶ。 その後、サッカー元日本代表でもあるカレンロバートの専属サポート。現在は、プロ野球選手(NPB)やプロサッカー選手(Jリーグ)、プロゴルファー(JLPGA)、プロサーファー(WSL)、実業団選手(日本代表)を始めとする、トップアスリートから本気でプロを目指すアスリートを中心にサポートをしている。

私がスポーツメンタルコーチになった理由

私はプロサッカー選手になるはずだった。小学校のころから夢はサッカー選手。中学生になっても高校生になっても大学生になっても、夢は変わらずサッカー選手。そんな私は、身長170㎝でゴールキーパーをしていた…>>続きはこちらから

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