周囲からの期待がプレッシャーに感じてしまうアスリートへ。期待を自分の力に変えていくためのメンタル。

「次の試合頑張ってね!」

「明日の試合期待してるよ!」

「あと一つ勝ったら全国大会だね!」

「〇〇なら絶対優勝できる!」

これらのように、周囲の人から声援を受けることも多い競技人生。

しかし、肝心な選手自身は、その期待が力になるどころか、大きなプレッシャーに感じてしまい、「自分自身のプレーに集中できない、期待が重荷に感じてしまう」そんな経験はありませんか?

本来試合は、選手がこれまで積み重ねてきた成長を思う存分発揮する機会ですが、周囲の期待に応えることばかりでいっぱいになってしまい、自分のプレーを最大限に発揮するための準備が疎かになってしまうのは本末転倒です。

私がスポーツメンタルコーチとして活動していく中で、このような周囲の人からの期待に対して、どのように受け止めていったらいいのか相談しにくる選手も多くいます。

その競技を続ける理由は選手によって様々ですが、誰かの期待に応えるために競技をしている選手は恐らくいないでしょう。

きっとここまで競技を続けてこれたのは、その競技が楽しくて好きだという気持ちがあるからだと思います。

これまで周囲からの期待に押し潰されそうになっていた選手が、その期待を自分の力に変え、最高のパフォーマンスで輝く姿を見ることもありました。

その姿は本当に美しいものです。

もし、試合でなかなか結果が出ていなかったり、納得のいくプレーを発揮できていない理由が、この周囲からの期待だとしたらいかがでしょうか?

逆に、周囲からの期待を自分自身の力に変え、自分のパフォーマンスを最大限に発揮することができたらいかがでしょうか?

今回は、周囲からの期待に押し潰されてしまいそうなアスリートが、自分のパフォーマンスを発揮して輝けるようにと願いを込めてこのコラムを書きます。

目次

周囲からの期待が重荷に感じて、自分のプレーに集中できない

世の中には、たくさんの人から応援されるくらい、人間性も磨かれていて、誠実に競技と向き合っている選手がたくさんいます。

しかし一方で、たくさんの人から応援されるからこそ、その応援を期待に感じてしまい、その期待がプレッシャーになって、苦しんでいる選手がいることも事実としてあります。

「たくさんの人が応援してくれてるし、絶対に勝たないと」

「わざわざ試合会場まで観に来てくれてるからミスはできない」

「たくさんの人からの期待に応えなくちゃ」

これらのように、周囲の人たちからの期待に応えようとすることで、自分のプレーを最大限に発揮することよりも、応援してくれる人たちの期待に応えることが目的になってしまうことがあります。

本来、試合で最高のパフォーマンスを発揮するために、厳しいトレーニングを積み重ねてきたのに、周囲からの期待を意識し過ぎることが、パフォーマンスを発揮するための障害になってしまうこともあるのです。

期待に応え続ける競技人生

周囲からの期待に応えようとしたことで、自分のパフォーマンスを発揮することができずにいたとしたら、いかがでしょうか?

実は科学的な視点から見ても、周囲の期待に過剰に反応してしまうことで、スポーツのパフォーマンスが低下することが証明されています。

周囲からの期待に過剰に反応したことで、自分がこれまで積み重ねてきたことがプレーとして発揮することができない。

そのような状況が続けば、心から実現したい夢や目標は遠ざかってしまいます。

【スポーツメンタルメモ】

  • 認知学者シアン・リア・バイロックらの研究によると、特にスポーツや音楽のような熟練したスキルを持つ人々において、他人の評価を意識することがパフォーマンスを低下させると言われています。この現象は「チョーキング(choking under pressure)」と呼ばれ、プレッシャーや評価への意識が高まると熟練した動作がぎこちなくなることを指します。
  • 心理学者ロバート・ヤーキースとJ・D・ドットソンが発見した、Yerkes-Dodsonの法則によれば、ストレスが適度な範囲を超えると、パフォーマンスは低下します。期待に対する過剰な意識がこの限界を超える原因となります。

自分のプレーに集中することが期待に応えることへと繋がる

周囲からの期待に過剰に反応することで、自分のパフォーマンスを発揮できずに試合を終えてしまう。

そのような試合の終え方は受け入れきれないはずです。

実現したい夢や目標は、成長を日々積み重ね、その成長を試合で発揮し続けた先にあります。

だからこそ、周りの人からの期待に応えるよりも、自分のパフォーマンスを発揮することに意識を向けることが大切になるのです。

周囲からの期待に“過剰に反応してしまう”のか、それとも“自分のパフォーマンス発揮のために集中する”とでは、どちらが夢や目標に近づくことができるでしょうか?

期待を背負いすぎたある選手の話

これまで私がお会いしたことのあるアスリートの中で、周囲からの期待に押し潰されそうになり、プレッシャーで自分のプレーに集中できずに悩んでいる実業団の選手がいました。

その選手の話を聴いていくと、目標はオリンピックで金メダルを取ることでした。

さらに話を聴いていくと、頻繁に出てくる言葉がありました。

それが、「期待に絶対応えなきゃいけない」とのことでした。

つまりその選手は、オリンピックで金メダルを取るためではなく、期待に応えるために競技をしていたのです。

しかし、その選手自身の中で、期待に対する捉え方が変わったことで、最大限のパフォーマンスを発揮し、国内大会や世界大会で優勝を重ねるようになりました。

もっと自分のために競技をしていい

周囲の人からの期待がプレッシャーに変わってしまい、自分のプレーに集中できなくなってしまうことは、どんな選手にも起こり得ることです。

ただそのとき、自分自身に問いかけていただきたいのです。

「自分は何のために競技をしているのか」、「実現したい夢や目標は何なのか」と。

だからこそ、期待に応えようとするよりも、自分のパフォーマンスを最大限に発揮することを大切にしてもらいたいです。

期待に応え続けた先に、夢や目標が待っている訳ではないのですから。

周囲からの期待を力に変えて、ハイパフォーマンスを発揮する

注目度の高い試合になればなるほど、周囲の人からの期待は高まる一方です。

そんな状況で、周囲の人からの期待を自分自身の力に変えていくのは、簡単なことではありません。

しかし、周囲の人からの期待は、扱い方によって自分自身のハイパフォーマンスを引き出すきっかけにもなります。

だからこそ、期待に対しての捉え方を変えていく必要があるのです。

ただ一人だけの力で、これまでの期待への捉え方を変えることは、簡単なことではありません。

なぜなら、無意識のうちに、現在の期待に対する捉え方が習慣になってしまっているからです。

そのためにも、期待に対して新たな視点での捉え方に気づかせてくれる存在が重要になってきます。

私が提供しているスポーツメンタルコーチングでは、この無意識の習慣になっている部分を特定し、新たな視点で物事を捉えられるようなアプローチを施します。

自分自身にプレッシャーを与えていたはずの期待が、ハイパフォーマンスを引き出すきっかけに変えることができたらいかがでしょうか?

期待に対する捉え方を変え、期待というプレッシャーをハイパフォーマンス発揮のきっかけへと変えていきたいという方は、是非一度、体験メンタルコーチングを受けてみてください。

スポーツメンタルコーチ加藤優輝
Deportare Design代表
Deportare Design代表。6歳から22歳までプロサッカー選手を目指していたが、燃え尽き症候群により競技を嫌いになり、結果プロになれずに現役引退。 その後、人命に関われる仕事に魅力を感じ、消防士になる。 消防士として社会貢献していく中で、夢や目標に向かっている人をサポートしたいという思いが沸き起こり消防を退職。 退職後、自分自身が燃え尽き症候群になってしまった原因を解明すべく、脳と心の仕組み・スポーツ科学、EQなどについて学ぶ。 その後、サッカー元日本代表でもあるカレンロバートの専属サポート。現在は、プロ野球選手(NPB)やプロサッカー選手(Jリーグ)、プロサーファー、プロゴルファー、実業団選手を始めとする、トップアスリートから本気でプロを目指すアスリートを中心にメンタルのサポートをしている。 すべての人が自分自身の可能性を信じて生きていける社会にすることが人生のテーマ。
目次