スポーツ以外でも幸せな人生を歩めるけど、スポーツでの感動体験を超えるものはない。だからこそ最後まで競技をやり切ってほしい。

スポーツの世界ばかりで生きてきた私にとっていい気づきを得られたのでここに書き留めたいと思う。

プロフィールにもあるように、あるときを境に競技を嫌いになって競技者を引退した。

引退した後も、競技者として生きていく日々を超えるような感動体験を追い求めて、その後のキャリアを築くのに必死だった。

消防士になったり、会社員になったりと色んな経験をしてきたけど、どれも競技者時代を超える感動や、充実した日々は存在しなかった。

今振り返ると、いつもいつも過去の自分と比較してばかり。

競技者時代に感じていた、心震えるような感動体験や、燃えたぎるような想いや、誰の目も気にならないくらい夢中になれていた日々。

あのとき感じていたようなものを感じられていない人生はダメだと。

結果的に今はスポーツメンタルコーチとして、アスリートと共に競技人生を歩ませてもらい、あのときのような感情を疑似体験させてもらっている。

だけど、ふとしたときに思うことがある。

果たしてこのような感動を感じられなくなったら、私の人生はどうなってしまうのだろうかと。

もちろんそんな問いに対して答えがすぐに出ることもなく、一つの問いとして心の中にしまっておいた。

そしてある日、朝の散歩中に私の中でしっくりくる答えと出会うことができた。

それが、「スポーツを超えるような感動体験はこの世の中に存在しない」ということ。

今まで無意識にこの感動体験を自分の人生の基準にして生きてきた。

だけどいつになっても超えるものと出会うことはなかった。

「そうか、そもそもこの世の中にスポーツの感動体験を超えるものは存在しないんだ」と思えたとき、すーっと心が楽になった。

トップアスリートは、限られた人間にしか味わえない栄光を手にするために、日々厳しいトレーニングをしてる。

なのにも関わらず、その栄光は一瞬しか味わえない。

その感動体験は、かけてきた時間に対してあまりにも一瞬すぎる。

そりゃそうか。

スポーツでの感動体験を超えるものなんて世の中に存在しないよな。

だけど今私にとってスポーツがなくなったとしても、幸せな人生を歩んでいくことはできると自信を持って言える。

それは、大切な家族や友人がいたり、美味しいご飯が食べられたり、自分の好きなことができたり、美しい景色を眺めたりと心が満たされる瞬間に気づけるような内面になれたから。

とはいってもスポーツでの感動体験は本当に素晴らしいものだから、これからもその感動体験を味わえるようなことはしていくのかなと思う。

きっとスポーツを超えるようなものと出会えずに、心にぽっかりと穴ができてしまった人はたくさんいると思う。

本気で競技を追求してきた人ほど、この感覚が分かるのではないかと思う。

だけど安心してほしい。

スポーツを超えるような感動体験がなくなったとしても、幸せな人生を歩むことはできる。

だからこそ、スポーツにしかない感動を味わえるチャンスがあるなら、まだまだ競技者として最後までやり抜いてほしい。

競技者として生きられる時間は決して長いものではない。

本当に尊いもの。

すべてのアスリートが心から競技をやり切れたと思えるような人生を歩めますように。

スポーツメンタルコーチ加藤優輝
Deportare Design代表
Deportare Design代表。6歳から22歳までプロサッカー選手を目指していたが、燃え尽き症候群により競技を嫌いになり、結果プロになれずに現役引退。 その後、人命に関われる仕事に魅力を感じ、消防士になる。 消防士として社会貢献していく中で、夢や目標に向かっている人をサポートしたいという思いが沸き起こり消防を退職。 退職後、自分自身が燃え尽き症候群になってしまった原因を解明すべく、脳と心の仕組み・スポーツ科学、EQなどについて学ぶ。 その後、サッカー元日本代表でもあるカレンロバートの専属サポート。現在は、プロ野球選手(NPB)やプロサッカー選手(Jリーグ)、プロサーファー、プロゴルファー、実業団選手を始めとする、トップアスリートから本気でプロを目指すアスリートを中心にメンタルのサポートをしている。 すべての人が自分自身の可能性を信じて生きていける社会にすることが人生のテーマ。
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