頑張っているのに結果が出ない時期は、競技人生のどの場面か

頑張っているのに、結果が出ない時期がある

頑張っているのに、うまくいかない時期があります。

練習量が足りないわけでもない。
手を抜いているわけでもない。
むしろ、競技人生に全てを捧げるくらい本気で向き合っている。

それでも、結果が出ない。
思うようなプレーができない。
前はできていたことすらやれなくなっている。

こういう時期は、選手にとってかなり苦しいものです。
本気でやっているほど、自分には無理なんじゃないかという考えが頭をよぎりやすくなります。

そして苦しい時期ほど、視野は狭くなります。

目の前のミス。
直近の結果。
周りの選手の成長。
評価されていない感覚。

そこだけを見続けると、頭の中はうまくいかない理由を探し続ける状態になっていきます。
でも、その状態で考え続けるほど、整理ではなく反芻思考になりやすい。
考えているのに、前に進んでいる感じがしない。
むしろ、自分を追い込んでしまう。

だから、こういう時期に必要なのは、気合で押し切ることではありません。
無理に前向きになることでもありません。

必要なのは、視点を整えることです。

少し離れた位置から競技人生を眺める

まったくうまくいかない時期の選手には、まず少し離れた位置から競技人生を眺める視点が大切です。

目の前のプレー、今日の結果、今週の手応え。
それらはもちろん大事です。
ただ、それだけで自分を判断し始めると、競技人生全体の流れを見失いやすくなります。

うまくいかない時期に起きていることは、単純に能力がないという話ではないことが多いからです。

むしろ現場では、前のやり方では通用しなくなったという場面がよく起きます。

これまで通用していた準備。
これまでの試合への挑み方。
これまでの考え方。

それが、次のレベルでは合わなくなる。
すると選手は、できなくなったと感じます。

しかし、見方を変えると、それは終わりではなく、次の段階に進むための成長が始まったとも言えます。
つまり、再構築が始まった合図なのです。

ヒーローズジャーニーは整理のための地図として使う

ここで役に立つのが、ヒーローズジャーニーの視点です。

ヒーローズジャーニーは、主人公が困難を通して変化していく物語の流れとして知られています。
ただ、ここで大事なのは、これをきれいな物語として使わないことです。

ヒーローズジャーニーは、苦しみを美化するための話ではありません。
うまくいかない時期に混乱しやすい頭の中を整理するための地図として使えます。

うまくいかない時期の選手は、どうしても結果に引っ張られます。
そして、結果からすぐに自分の評価をつけたくなる。

結果が出ない
自分はダメだ
もっとやらなきゃ
空回る
さらに結果が出ない

この流れに入ると、苦しみは一気に強くなります。

だから必要なのは、自分はダメだというレッテルを貼ることではなく、いま何が起きているのかを少し離れて整理することです。

ヒーローズジャーニーの視点は、その整理に使えます。

本当の試練は内側で起きていることがある

まったくうまくいかない時期は、物語でいうところの試練の場面に近いことがあります。

ただし、ここでの試練は、相手選手や結果だけではありません。

本当に苦しくさせるのは、むしろ内側で起きていることです。

焦り
比較
自己否定
反芻思考
早く答えを出したくなる気持ち

こうした反応は、弱さではありません。
本気で競技に向き合っている選手ほど、自然に起こりやすい反応です。

だからこそ、ここでやるべきことは、感情を消すことではない。
気持ちを正しくすることでもない。

まずは、いまの自分がどんな状態に入っているかを観察することです。

焦っているな
比較が増えているな
結果から自分を評価し始めているな

そうやって状態を言葉にできるだけで、少し余白が戻ってきます。

余白が戻ると、選手はようやく次の行動を考えられるようになります。

きれいに進まなくていい

ここでひとつ大事なのは、ヒーローズジャーニーを順番どおりの正解として使わないことです。

現実の競技人生は、物語みたいにきれいには進みません。

前に進んだと思ったら、また困難が現れる。
いけると思ったら、また元に戻る。
調子が良かった次の日に、急に崩れることもある。

だからこの視点は、あなたは今ここですと決めるためのものではなく、見失わないための地図として使うのがいい。

大切なのは、きれいに進むことではなく、いまどこで苦しんでいるのかを把握して、そこに合った関わり方をすることです。

うまくいかない時期を意味のある時間に変える3つの視点

では、まったくうまくいかない時期をどうすれば意味のある時間に変えていけるのか。

ここで見るべきものは3つあります。

1. 結果ではなく、状態を観察する

うまくいかない時期ほど、結果だけを見て判断したくなります。
でも、結果だけでは調整はできません。

見るべきなのは、結果の前にある状態です。

練習に入る前の頭の中
ミスの直後の反応
うまくいかない日のセルフトーク
比較が強くなるタイミング

ここが見えてくると、何を整えるべきかが見えます。
結果を責めるより、次の改善につながる。

2. 前のやり方に戻るより、次のやり方を作る

不調期は元に戻したいという気持ちが強くなります。
でも、前のやり方が通用しなくなっているなら、必要なのは復元ではなく再構築です。

練習の入り方を変える
振り返りの順番を変える
試合前の整え方を変える
目標の置き方を見直す

この時期は、能力が止まっている時間ではありません。
やり方を再構築している時間です。

そう捉えられると、この瞬間の捉え方が変わります。

3. 競技人生全体で見て、今の意味を決め直す

ここが一番大事かもしれません。

うまくいかない時期は、この瞬間だけを切り取るとただ苦しい。
それは事実です。
きれいに言い換える必要はありません。

でも、少し離れた位置から競技人生全体を見ると、その時間がただの停滞ではなく、転機だったと分かることがあります。

技術が伸びたからではなく、
向き合い方が変わった。
自分の扱い方が変わった。
勝ちたい理由が変わった。
競技への想いが深くなった。

それは、数字にはすぐ出ない変化です。
でも、勝負どころで大切になるのは、こういった部分です。

目の前の結果で競技人生を決めない

うまくいかない時期に、選手はよく何を変えればいいですかと聞きます。

もちろん、技術や戦術の修正は必要です。
ただ、その前に見直したいことがあります。

それは、自分の競技人生を目の前の結果だけで決めない視点です。

いまの結果は、いまの結果でしかありません。
それを、そのまま自分の価値にしないこと。
いまの不調を、そのまま競技人生の結論にしないこと。

そうやって少し離れて見られるようになると、選手はもうダメだではなく、ここから何を積み上げるかに戻ってこられます。

この戻り方が、とても大事です。

うまくいかない時間を、競技人生を止めない時間にする

うまくいかない時期は、最初から意味があるわけではありません。
苦しいし、悔しいし、受け入れられない日もある。
それでいいと思います。

でも、向き合い方しだいで、意味のある時間にしていくことはできる。

結果が出ない時期に何を見て、どう整え、何を積み上げたか。
その時間は、あとから必ず競技人生を支える土台になります。

そしていつか、振り返ったときに思うはずです。

あの時間は、ただうまくいかなかった時間ではなかった。
あの時間があったから、競技との向き合い方が変わった。
あの時間があったから、今の自分のプレーがある。

そう言えるように、まったくうまくいかない時期も、自分にとって意味のある時間にしていける。

私は、そのような時間を、選手と一緒につくっていきたいと思っています。

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スポーツメンタルコーチ加藤優輝
Deportare Design代表
Deportare Design代表。6歳から22歳までプロサッカー選手を目指していたが、燃え尽き症候群により競技を嫌いになり、プロになれずに現役引退。 その後、人命に関わる仕事に魅力を感じ、消防士になる。 消防士として社会貢献していく中で、夢や目標に向かっている人をサポートしたいという思いが沸き起こり消防を退職。 退職後、自分自身が燃え尽き症候群になってしまった原因を解明すべく、脳と心の仕組み・スポーツ科学、EQなどについて学ぶ。 その後、サッカー元日本代表でもあるカレンロバートの専属サポート。現在は、プロ野球選手(NPB)やプロサッカー選手(Jリーグ)、プロゴルファー(JLPGA)、プロサーファー(WSL)、実業団選手(日本代表)を始めとする、トップアスリートから本気でプロを目指すアスリートを中心にサポートをしている。福岡と鹿児島を拠点に九州全域で活動中。

私がスポーツメンタルコーチになった理由

私はプロサッカー選手になるはずだった。小学校のころから夢はサッカー選手。中学生になっても高校生になっても大学生になっても、夢は変わらずサッカー選手。そんな私は、身長170㎝でゴールキーパーをしていた…>>続きはこちらから

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