成長を最大化するために、勝ちにいく。

勝ちにいく。
しかし、勝つことを頂点には置きません。

これは勝ちを手放す話ではありません。
むしろ逆で、成長と結果のどちらも取りにいくための話です。

勝ちが頂点にあると、勝ちが絶対になります。
すると勝たないといけないが強くなる。

このような気持ちが強くなるほど、身体と判断に影響が出やすくなります。

緊張し過ぎて体が固くなる。
呼吸が浅くなる。タイミングがズレる。
視野が狭くなって、見える情報が減る。
判断が単純化して、選択肢が消えていく。

勝ちを追っているつもりで、勝ちから遠ざかる状況を自分でつくってしまうことがあります。
だからこそ、頂点を勝ちではなく、成長に置き換えます。

成長を頂点にするのは、勝ちより成長が大事と言いたいからではありません。
成長と勝利のどちらも取りにいく。
そのためにも、自分自身でコントロールできる成長に意識を向けた結果、勝利が生まれるようにしていきたいのです。

勝ちにいくの定義

勝ちにいくとは、精神論ではありません。
根性で前に出ることでもないし、無謀な一発逆転を狙うことでもない。

勝ちにいくとは、勝てる確率が上がる選択を取り続けることです。
どんな状況でも、勝つ確率を少しでも上げる判断を選び続けること。

そしてこれが一番問われるのが終盤です。
点差があり、流れが悪く、空気がもう無理だと傾くとき。

圧倒的に負けている。
残り時間は少ない。
周囲には諦めの空気が漂っている。

この状況で人は二つの方向に引っ張られます。
それが、諦めて終わらせる方向と焦って一発で取り返す方向。

どちらも自然です。
でも、勝てる確率は上がりにくい。

諦めは、勝つための思考を止めます。
焦りは、成功確率の低い行動を増やし、負の連鎖を起こしやすい。

ここで勝ちにいく選手がやるのは別のことです。
わずかな勝利への確率を、1%でも上げる選択を取っていきます。

一発で逆転できなくてもいい。
勝つ確率が上がる選択を、ひとつずつ重ねていく。

ここで言いたいのは、一発逆転が悪いということではありません。
その局面で一発が最も勝つ確率を上げるなら、それが最善です。

問題は、逆転したい気持ちに引っ張られて、確率が下がる選択を増やしてしまうこと。
勝ちにいくとは、小さく刻むことでも、大きく賭けることでもなく、その場で確率が上がる方を選び続けることです。

そのために必要なのが観察力

勝つ確率を上げる選択を取り続けるには、状況を冷静に観察する力が必要です。

苦しい状況ほど、人は見たいものだけを見るようになります。
感情が視野を狭くして、実際に起きていることを見落としてしまう。

すると判断が、勝つ確率を上げる選択ではなく、不安が減る選択に陥りやすい。

安全な方へ逃げたくなる。
リスクの少ない選択を取りたくなる。
失敗しないことを最優先にしてしまう。

でも、勝つ確率を上げる選択は、たいてい楽な方にはありません。
だから必要なのは、意思決定の型です。

OODAループを回し続ける

OODAループという意思決定の型があります。
状況を観察し、理解し、決めて、動く。
動いた結果を見て、また観察する。
この循環を回し続ける考え方です。

OODAループの強みは、考えてから動くではなく、動きながらその状況に合わせて決断できることです。
状況が変わるほど、この回転の速さが勝つ確率に直結します。

背景としてよく語られるのが、戦闘機パイロットの世界です。
状況が一瞬で変わり、判断の遅れが致命的になり得る環境で意思決定の質と速さが問われてきました。

もちろんスポーツは戦争ではありません。命のやり取りでもない。
ただ共通点がひとつあります。
それが、状況が急激に変わり、判断の遅れが結果に直結しやすいという点です。
だからスポーツでも、OODAループを回し続けることが武器になります。

ここで大事なのは、OODAループを順番通りにきれいに回すことではありません。
実際の試合では、観察に戻ったり、理解を修正したり、何度も行ったり来たりします。

OODAは手順ではなく循環です。
止めずに回し続けることが本質です。

Observe:観る
今起きている事実をありのままに観察する

Orient:分かる
自分の世界観に照らし合わせて理解する

Decide:決める
できるだけ直感を元に判断する

Act:動く
動くと決めたら徹底的に実行する

Loop:見直す
上記の4つのプロセスの結果を検証する

結果を検証して、また観察に戻る。
必要なら理解を更新する。
この回転を止めないことが、勝つ確率を上げます。

OODAループは手順ではなく循環です。行き来しながら回し続けます。

試合が苦しくなるほど、人はOODAループが止まりやすくなります。

・事実ではなく感情で状況を観てしまう。
・誤ったことを理解をしてしまう。
・決断が遅れて実行に迷いが生まれる。

その結果、勝つ確率を上げるどころか、
自分自身で苦しい状況へと追い込んでしまうのです。

だからこそ、勝つ確率を上げるためにも、OODAループを回し続けることが重要です。

終盤で点差があるときの選択

例えば、終盤で点差がある状況で、勝つ確率を上げる選択とは何でしょうか。
競技によって表現は変わりますが、原理は共通です。やることは大きく3つです。

その1。事実をありのままに観察します。
点差、残り時間、自分や相手の状況。
ありのままに観察することで、現状を把握するのです。

その2。観察して分かったことを元に、直感で判断します。
終盤で点差があるときでも、観察したことで判断できることが見えるはずです。
状況をしっかりと把握していない状態で、あれもこれもやろうとすると崩れてしまいます。

その3。決めて、実行して、回し続けます。
判断して実行すると決めたなら、徹底的に行います。
実行したら、すぐ観察して、さらにOODAループを回し続けます。

ここで大事なのは、観察することです。
全ては観察することから始まります。

図にもあるように、観察に何度戻ってもいい。
どれだけしっかり観察できるかが重要になります。

成長が目的で、勝ちは手段

勝てたときはもちろん喜びも大きいです。
ただ、私が一番上に置きたいのは成長です。
競技者として成長することに喜びを感じている状態。

成長を目的にする。
そのための手段として、本気で勝ちにいく。

勝つ確率を上げる選択を取り続けること。
どんな状況でもOODAループを回し続けること。
この姿勢が、成長を最大化します。

勝てなかったとしても、その時間は成長の糧になります。

その時間を通じて、どんな気づきを得られたか。
どんな改善点を見つけられたか。
改善のためにどんな行動をしていくか。

その日々を重ねることが、
競技人生をより豊かなものへと変えていくのだと思います。

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スポーツメンタルコーチ加藤優輝
Deportare Design代表
Deportare Design代表。6歳から22歳までプロサッカー選手を目指していたが、燃え尽き症候群により競技を嫌いになり、プロになれずに現役引退。 その後、人命に関わる仕事に魅力を感じ、消防士になる。 消防士として社会貢献していく中で、夢や目標に向かっている人をサポートしたいという思いが沸き起こり消防を退職。 退職後、自分自身が燃え尽き症候群になってしまった原因を解明すべく、脳と心の仕組み・スポーツ科学、EQなどについて学ぶ。 その後、サッカー元日本代表でもあるカレンロバートの専属サポート。現在は、プロ野球選手(NPB)やプロサッカー選手(Jリーグ)、プロゴルファー(JLPGA)、プロサーファー(WSL)、実業団選手(日本代表)を始めとする、トップアスリートから本気でプロを目指すアスリートを中心にサポートをしている。

私がスポーツメンタルコーチになった理由

私はプロサッカー選手になるはずだった。小学校のころから夢はサッカー選手。中学生になっても高校生になっても大学生になっても、夢は変わらずサッカー選手。そんな私は、身長170㎝でゴールキーパーをしていた…>>続きはこちらから

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