結果に相応しい人になる|他者評価から自由になったとき、本当のパフォーマンスは生まれる

これまでたくさんのアスリートと関わってきて、ひとつ強く感じることがあります。
それは、他者からの評価を気にしながら競技をしているとき、なかなかパフォーマンスが発揮されないということです。

「この試合で結果が出なかったら、どう思われるだろう」
「スポンサーが離れてしまうかもしれない」
「ファンの期待に応えられなかったらどうしよう」

そういった思いが頭の中に広がっているとき、競技に向けて本来注ぐべきエネルギーが、全く関係のない方向へと流れていってしまいます。
試合前の緊張とは少し違う、じわじわとした重さが体にのしかかってくる感覚を経験したことのある方もいるのではないでしょうか。

つまり、「周りからの評価」のために競技をしている状態です。

もともと、その競技を始めたのはなぜだったでしょうか。
きっと、楽しかったからだと思います。
ボールを蹴るのが、泳ぐのが、走るのが、ただ純粋に好きだった。
誰かに言われたわけでもなく、自分がやりたくてやっていた。
そういうところから始まったはずです。

それがだんだんと上手くなり、試合に出る機会が増え、スポンサーがついて、応援してくれる人が増えていく。
それはとても素晴らしいことです。
これまで積み重ねてきたことが認められ、多くの人に支えられるようになったということですから。
しかし、そのプロセスのなかで、いつの間にか「何のために競技しているのか」という軸がずれてしまうことがあります。

気づいたら、自分のために競技するのではなく、誰かの評価のために競技するようになっていた。
そうなったとき、競技をすることが重荷になります。
楽しさよりも不安が先に来るようになります。
そしてそれが、パフォーマンスの足かせになっていくのです。

応援してくれる人は、本当に「結果だけ」を見ているのか

ここで、少し立ち止まって考えてみてほしいことがあります。

あなたを応援してくれている人たちは、本当に結果だけであなたを見ているのでしょうか。

どんなアスリートにも、結果がなかなか出ない時期があります。

「努力しているのに思うように勝てない」
「調子が上がらない」
「練習ではできていることが、試合になると出せない」

そういう時期は、競技をしていれば必ず訪れます。
そんなときに、あなたのそばで応援してくれている人たちは、本当に離れていってしまうのでしょうか。

おそらく、そうではないと思います。

あなたのことを本当に応援してくれている人たちは、あなたが日々どんな気持ちで競技と向き合っているか、どんな思いを持って生活しているか、そういった姿を見ているのだと思います。
上手くいかない日も諦めずに取り組む姿、試合に負けた翌日もまたグラウンドに立つ姿、思うような結果が出なくても自分と向き合い続ける姿。
そういった一つひとつの積み重ねを見てくれているから、「この選手が試合で輝けるように力になりたい」、「少しでも支えになりたい」という気持ちが湧いてくるのだと思います。

確かに、結果というのは目に見えてわかりやすいものです。
誰が見ても形として残ります。
しかし、競技に向き合う過程というのは、なかなか多くの人には伝わりにくいものでもあります。
それでも、その過程を見てくれている人はちゃんといます。
結果が出ない時期も含めて、あなたを応援したいと思っているから、そばにいてくれているのです。

もし結果だけがその人の支えの理由なら、少し結果が出なくなった瞬間に離れていってしまうはずです。
しかし実際には、そうじゃないことの方がずっと多い。
それは、あなた自身の競技への向き合い方を、しっかり見てくれているからだと思います。

結果が出なかったとき、本当に問うべきこと

結果が出なかったとき、「自分はすべてダメだ」と思ってしまうことはないでしょうか。

その気持ちは、競技に真剣に向き合っているからこそ生まれるものだと思います。
だからこそ、否定したいわけではありません。
しかし、結果が出なかったことをもって自分のすべてを否定してしまうのは、少し違うと感じています。

そのとき本当に問うべきことは、こういうことだと思います。

「試合に向けて、これまでの過程をどんなふうに過ごすことができたか」
「まだやれることはなかったか」
「今日という一日を、自分の中でしっかりとやり切るような過ごし方ができていたか」
「練習の質はどうだったか」
「体のケアは丁寧にできていたか」
「睡眠や食事、そういった基本的なことに向き合えていたか」

そういったところを、ひとつひとつ丁寧に見ていくことが大切です。

そして、「もうこれ以上やれることはない」と心から思えるような状態で試合当日を迎えることができたなら、そこから先は、これまで積み重ねてきたものを発揮するだけです。
結果を出そうとするのではなく、自分がやってきたことをそのまま出し切るということです。

準備が整っているとき、人は不思議と「あとはやるだけだ」という感覚になれます。
逆に言えば、その感覚になれないとしたら、まだ過程のどこかに自分が向き合えていない部分が残っているサインかもしれません。
結果への不安よりも先に、過程への誠実さを大切にしていくこと。
そこが、試合当日の心の状態にも大きく影響してきます。

コントロールできないことをコントロールしようとするから苦しくなる

ここで、とても大切なことをお伝えしたいと思います。

結果というものも、他者からの評価というものも、実はすべて自分自身ではコントロールできないものです。

たとえ自分が全力を尽くして最高のパフォーマンスを発揮したとしても、その結果に対して周りの人から必ず評価されるかどうかは、絶対とは言い切れません。
どれだけ積み重ねてきたとしても、100%自分の求める結果をコントロールできるかというと、そうではないと思います。
相手がいる競技ならなおさらです。
自分がベストを尽くしても、相手がさらにその上をいくこともある。
天候や会場のコンディションが影響することもある。
そういった不確定な要素が、競技にはどうしても存在します。

自分がコントロールできないことをコントロールしようとすると、強いストレスが生まれてしまいます。
なぜなら、コントロールしたいという思いは強いのに、どれだけ思ってもコントロールができないからです。
そして、その間に生まれるギャップが、焦りや不安、そして過度な緊張として体や心に現れてきてしまうのです。

逆に言えば、コントロールできないことに必死になるのをやめたとき、コントロールできることに集中できるようになるとも考えられます。

「日々の練習に向き合う姿勢」
「今日という一日をどう過ごすか」
「試合の前夜、どんな準備をするか」
「試合中、次のプレーに対してどう気持ちを切り替えるか」

そういった、自分自身が選択できることに全力を注ぐ。
それが、本当の意味での競技への向き合い方だと思っています。

結果以外の部分に、あなたが輝く土台がある

自分がコントロールできること、それは日々の取り組み方です。
そしてその積み重ねが、多くの人から応援されるに相応しい人をつくっていきます。

競技に対する真剣な姿勢、上手くいかないときも前を向く態度、チームメイトや周りの人への接し方、試合前の準備の質、自分と正直に向き合う勇気。
こういったことは、数字には残らないかもしれません。
しかし、確実に成長へと積み重なっていきます。

そして、それを見ている人は必ずいます。

結果にこだわる気持ちは、高いレベルを目指す競技者として必要なものだと思います。
結果を追い求めるからこそ、もっと上手くなりたいと思えるし、練習に力が入る。
その姿勢は大切にしてほしいと思います。

しかし、「結果さえ出れば全て評価される」という考えでいると、結果が出ないときの自分を認めることができなくなってしまうのです。
競技者としての自分の価値を、結果が出た瞬間だけにしか見出せなくなってしまうということです。

ずっと結果が出続ける競技人生というのは、おそらく誰にも訪れません。
どんなトップアスリートにも、うまくいかない時期があります。
そんなとき、結果が出るまで自分を認めることができず、自分の価値を見出せないというのは、本当に苦しいことです。
自分を否定し続けながら競技をしていくことは、パフォーマンスにも影響しますし、何より長続きしません。

だからこそ、競技者としてどういった姿勢で取り組むか。
その過程を大切にしていくことが、長く競技を続けていく上でも、パフォーマンスを発揮していく上でも、とても重要なことだと思っています。

結果に相応しい人になる

私がスポーツメンタルコーチングのなかで大切にしていることのひとつに、「結果に相応しい人になる」という考え方があります。

結果を出すことを目指すのではなく、その結果に相応しい人間になることを目指すということです。

日々の取り組み、競技への向き合い方、自分の内側を誠実に磨いていくこと。
そういった積み重ねを続けていると、結果というのは自然とついてくるものだと感じています。
そして結果が出たとき、それは「結果に相応しい人だった」ということです。
偶然でも、運でもなく、そこまでの過程があったから手にできた結果です。

他者からの評価を気にするのをやめ、自分がコントロールできることに集中する。
その姿勢を通じて、本当の意味で多くの人から応援される選手になっていく。

それが、私がこれまで多くのアスリートと関わってきた中で強く感じてきたことです。

結果が出ない時期も、その選手の競技人生の一部です。
むしろそういう時期に何を考え、どう向き合ったかが、その後の大きな結果につながっていくことの方が多い。
だからこそ、どんな時期にあっても、今日の自分がどう過ごすかを大切にしてほしいと思います。

このコラムを読んだあなたにとって、向き合うべきことが少しでもはっきりしたのなら嬉しく思います。

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スポーツメンタルコーチ加藤優輝
Deportare Design代表
Deportare Design代表。埼玉県川口市出身。6歳から22歳までプロサッカー選手を目指していたが、燃え尽き症候群により競技を嫌いになり、プロになれずに現役引退。 その後、人命に関わる仕事に魅力を感じ、消防士になる。 消防士として社会貢献していく中で、夢や目標に向かっている人をサポートしたいという思いが沸き起こり消防を退職。 退職後、自分自身が燃え尽き症候群になってしまった原因を解明すべく、脳と心の仕組み・スポーツ科学、EQなどについて学ぶ。 その後、サッカー元日本代表でもあるカレンロバートの専属サポート。現在は、プロ野球選手(NPB)やプロサッカー選手(Jリーグ)、プロゴルファー(JLPGA)、プロサーファー(WSL)、実業団選手(日本代表)を始めとする、トップアスリートから本気でプロを目指すアスリートを中心にサポートをしている。

私がスポーツメンタルコーチになった理由

私はプロサッカー選手になるはずだった。小学校のころから夢はサッカー選手。中学生になっても高校生になっても大学生になっても、夢は変わらずサッカー選手。そんな私は、身長170㎝でゴールキーパーをしていた…>>続きはこちらから

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