気持ちが追いつかない日があります。
体はグラウンドにいる。
アップもしている。
でも、心だけがついてこない。
こういう日は、練習の質が落ちた気がして焦ります。
ちゃんとやらなきゃと思うほど、空回りすることもある。
でも私は、メンタルコーチとしてこう捉えています。
気持ちが追いつかないのは、弱さではなく次に向かう準備段階です。
気持ちは、いつも体より遅れてやってくる
気持ちはスイッチではありません。
必要なタイミングで都合よく切り替わるものでもない。
大きな出来事(ミス、負け、評価、悔しさ)があると、心はそれを処理します。
処理が終わっていないとき、表面上は動けても、内側がついてこない。
これは自然な反応です。
むしろ問題は、追いついていない自分をダメだと決めつけること。
決めつけが始まると、練習は上手くなる場ではなくなってしまいます。
追いつかない日に起きやすいのは、評価モード
気持ちがついてこない日は、頭の中に評価が増えます。
- できていない所ばかり見える
- 周りの目が気になる
- 失敗の予感を拾ってしまう
- うまくやることに意識が取られる
この状態で、もっと頑張れと押すと、プレーは硬くなり、判断は遅れます。
そして硬さや遅れを見て、さらに自分を評価する。
この循環が、苦しさを長引かせます。
だからこの日は、上達のための練習というより、メンタルの準備として練習を扱うのがいい。
メンタルコーチとしての見立て
私が現場でよく見るのは、気持ちがついてこない日ほど、本人の努力とは別のところで身体が守りに入っていることです。
スポーツの場面では、評価や結果への意識が強まると、心と体は脅威に近い反応を起こしやすくなります。
すると注意は狭くなり、呼吸は浅くなり、筋肉は余計に緊張しやすい。
なんとか頑張ろうとするほど、動きが小さくなったり、判断が遅れたりすることがあります。
だから追いつかない日に必要なのは、気合で気持ちを作ることではなく、守りに入っている反応をほどいて、作業に戻れる状態をつくること。
この切り替えが早い選手ほど、波が来ても崩れにくい印象があります。
その日の練習の価値は、積み上げだけじゃない
調子のいい日は、積み上げられます。
でも、追いつかない日は別の価値がある。
それは、戻れる自分を確認できること。
- 感覚に戻れる
- 作業に戻れる
- 余計な評価から離れられる
この戻る力がある選手ほど、波が来ても崩れにくい。
メンタルの安定は、ここに宿ります。
今日の向き合い方は、一つでいい
追いつかない日に大切なのは、気持ちを作ることではありません。
今日は戻る日だと決めること。
上手くやろうとする日ではなく、整え直す日だと位置づける。
それだけで、練習の意味が変わります。
それでも何かするなら、手順じゃなく問いを持つ
やり方を増やすほど、評価モードは強くなります。
だからこの日は、やり方より問いが効く。
練習の前に、これだけでいい。
- いまの自分は、評価と作業のどちらに寄っているか
- 今日の練習は、積み重ねる日か、維持する日か、いい状態に戻す日か
- 終わったあと、何が一つ残っていれば成功とするか
答えが出なくてもいいです。
問いを持った瞬間に、意識が外側の評価から内側の調整へ戻り始めます。
追いつかない日を、悪い日にしない
気持ちが追いつかない日は、どんな選手にも起こります。
真剣に競技をやっている人ほど起こります。
だから、その日の扱い方を知っておく。
前に進むことばかりを焦らなくていい。
今日の練習は、整える練習でいい。
気持ちが追いつくのを待つのではなく、追いつくための土台に戻る。
試合は、準備したこと以上にはならない。
だから今日の練習は、次へ進むための準備でいい。
それが、次の試合へ進むための準備に繋がっていきます。

