努力しても上手くいかないときに目を向けるべきポイント

努力しているのになかなか成果が見えないとき、アスリートはつい「もっと努力をしなければ」と考えがちです。
しかし、ただ闇雲に努力を重ねるだけでは、必ずしも望む結果には結びつくとは限りません。

私のもとにスポーツメンタルコーチングを受けにきてくれるアスリートでも、「努力しているのに上手くいかない」という選手が多いように感じます。
実はこの問題の多くは、単に努力不足なのではなく、努力の内容や心の持ち方が関係している場合が多いのです。

今回は、心理学や脳科学の観点から、アスリートが壁にぶつかったときに見直すべきポイントについて深く掘り下げ、具体的な例を交えながら解説していきます。

目次

努力が実を結ばない理由とは?

過度のストレスとパフォーマンス低下

アスリートは、結果を求めるあまり、知らず知らずのうちに過度のストレスにさらされがちです。
このストレスが高まりすぎると、脳内のコルチゾール(ストレスホルモン)が増加し、集中力や判断力が低下します。

ある選手の場合、重要な大会を前に過度に緊張し、普段は当たり前にできているプレーが本番では何度も失敗してしまいました。
これは、過度のプレッシャーが脳に負担をかけ、身体の動きを制御する能力が低下したためと考えられます。

「もっと努力しなければならない」という思い込み

「もっと努力すれば結果が出るはずだ」という信念は、多くのアスリートが考えていることです。
しかし、心理学的に見ると、上手くいかないときほど、過度な努力でその状況を打開しようとするため、怪我のリスクが高まったり、最悪の場合は燃え尽き症候群を引き起こすリスクも高まります。

ある選手の場合、連日長時間の練習を行い、さらにはオフの日もトレーニングを行なっていました。
その結果、なかなか疲労も取れずに納得のいくパフォーマンスを発揮することができずにいました。
そこで努力の方向性を見直し、適切な休息を取ることで、その選手はここ一番でハイパフォーマンスを発揮することができ、再び輝きを取り戻したのです。

努力の振り返りと成果の検証を行う

ただ努力を続けるだけではなく、定期的に振り返りの機会を設けることが重要です。

例えば、私がサポートしているアスリートたちは、定期的にこれまで行なってきた努力に対して振り返る機会を設けています。
この定期的な振り返りによって、努力したことでどんな効果があったのか、どれだけ成長することができたのか、目標には近づいているのか、といった事実に目を向けることとなり、それらの振り返りから得た新たな気づきを次の努力へと繋げていきます。

つまり、アスリートたちは努力による成果と改善点を明確にし、これからの競技生活において何をすべきか明確になるのです。

【努力の振り返りの実践方法】

・練習日誌をつけて、過去に選択した努力がどんな効果を生み出したか検証する。

・スポーツメンタルコーチとの振り返りの時間を定期的に設ける。

・データ分析を活用し、客観的な視点で自己評価を行う。

まとめ

努力に対して振り返る機会を設けるからこそ、その振り返りによって努力の方向性が明確になり、さらなる成長を生み出していくのです。
だからこそ、努力が報われないと感じるときこそ、これまで行なってきた努力に対してしっかりと検証する時間が必要です。

努力しても上手くいかないとき、さらなる努力をしてその状況を打開するのではなく、過去に選んだ努力に対して、「どんな効果があったのか、どんな成長があったのか、どれだけ目標に近づけているのか」などといった努力に対しての振り返りを行い、しっかりと検証を行なっていきましょう。

スポーツメンタルコーチ加藤優輝
Deportare Design代表
Deportare Design代表。6歳から22歳までプロサッカー選手を目指していたが、燃え尽き症候群により競技を嫌いになり、結果プロになれずに現役引退。 その後、人命に関われる仕事に魅力を感じ、消防士になる。 消防士として社会貢献していく中で、夢や目標に向かっている人をサポートしたいという思いが沸き起こり消防を退職。 退職後、自分自身が燃え尽き症候群になってしまった原因を解明すべく、脳と心の仕組み・スポーツ科学、EQなどについて学ぶ。 その後、サッカー元日本代表でもあるカレンロバートの専属サポート。現在は、プロ野球選手(NPB)やプロサッカー選手(Jリーグ)、プロサーファー、プロゴルファー、実業団選手を始めとする、トップアスリートから本気でプロを目指すアスリートを中心にメンタルのサポートをしている。 すべての人が自分自身の可能性を信じて生きていける社会にすることが人生のテーマ。
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